「いまだに辛い…」イージス艦あたご 海難事故から2年(産経新聞)

 海上自衛隊イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」が房総半島の野島崎沖で衝突し、千葉県勝浦市川津の吉清治夫さん=当時(58)=と長男の哲大さん=同(23)=親子が行方不明になった事故から19日で2年がたつ。突然、2人を襲った悲劇に、親族や同僚の悲しみは、今も癒えていない。(三宅令)

  [フォト]吉清さん宅近くから見える、勝浦の海

 「今は三回忌を無事に行うだけで精いっぱい。思いだすのが辛い。何も、何も、辛くて考えられない」と、吉清さんの親族の女性(52)は涙をにじませた。

 吉清さんが住んでいた勝浦を訪ねると、時折、雪風が舞っていた。「あの当時は、もっと寒かった。みんな凍えながら必死に2人を探したんだ…」と、地元の漁師は話す。「同じ海難事故でも遺体が見つからないと、気持ちは切り替わらない」とつぶやいた。 

 事故を受けて、2人が所属していた新勝浦市漁業協同組合は、海自側にイージス艦の照明を明るいものに代えてくれないかと要望を提出した。イージス艦は極力照明を落として航行するため、周りの船は接近して、はじめてその巨体に気付くこともあるからだ。

 しかし、申し出は国際法上の問題もあって受け入れられなかったという。

 「(国防にかかわる船が)周りを煌々(こうこう)と照らすわけにはいかないし」と、同漁協の外記(げき)栄太郎組合長は理解を示す。「画期的な対策というのはありえない。そんなのがあったらもう実施しているし、事故なんて起こらないと思う」。

 事故後、海自側は二度と痛ましい事故を起こさないよう、隊員の教育や訓練に力を入れている。 

 「何万人もいる組織だから、すぐに変わるというのは無理でしょう。でも、改善の努力をしてくれているのはわかる」と外記組合長。最後にこう締めくくった。「私たちも忘れないで事故に気をつける。それが一番大事なことだ」。

 ■イージス艦衝突事故 平成20年2月19日早朝、野島崎沖で航行中の海上自衛隊所属のイージス艦あたごと、操業中の漁船清徳丸が衝突。漁船は大破し、乗っていた吉清治夫さん=当時(58)=と長男の哲大さん=同(23)=の親子が行方不明となった。

 昨年1月の海難審判の裁決では、あたご側に事故の主因があると認定、再発防止の改善を求める勧告を出した。また、あたご側が適切な見張りを怠ったために衝突したとして、横浜地検は業務上過失致死罪などで当直責任者らを在宅起訴した。

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